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›2008年09月28日(日)

箪笥のなか/長野まゆみ

文庫売り場で平積みになっているのを見かけたので、久々に長野まゆみさんの著作を読みました。

箪笥のなか

箪笥のひきだしが異世界に繋がって(?)、弟が「呼ぶ」体質であるという設定で、周囲の人間もそれを理解していてそれが日常で…ファンタジーとくくるには日常で、でもやっぱり日常ではなくて、という雰囲気をもった物語。短編連作なので読みやすいし、傷ついたり傷つけたりもない。

ただ、仮名遣いや表記に長野まゆみさんの作品としては違和感があるなぁと思っていたら、解説によると文庫では単行本では「抽斗」「蝙蝠」「天鵞絨」「啼く」「曇り天」「繃帯」と書かれていた部分が「ひきだし」「こうもり」「ビロード」「鳴く」「曇り空」「包帯」と文字遣いが大きく変わっているそうです。物語の雰囲気は表記文字で多少変わると思うので、旧仮名遣い・旧表記で書かれた雰囲気だからこそ好きであるなら、文庫ではなく単行本で読むべきかも(長野さんの作品は旧表記かもし出す雰囲気が非常にいいよね)。逆に、それが苦手で読めなかった人は文庫で読めば抵抗なく読めるのかな。